両手をひろげて

雨と傘
子供の頃から台風が大好きだった。
耳元でごうごうと音立てて不規則に風が吹き付ける。
遠くの空から大きな雲が私にむかって迫ってくる。

そんな時、私は決まって住んでいた高層マンションの最上階に登って両手を広げて風と雲を出迎える。
もしこのまま風にふき飛ばされてしまってもいいと思いながら。

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